9月9日(土) 受付開始 <10:00> 開会の辞 <10:20-10:30> 英米文化学会会長 曽村充利 (法政大学) 研究発表 <10:30-11:00> 1. 黒人女性の「場所」とジェンダー規範 ―『ママ・デイ』に見る女性化された場所― <10:30-11:00> 発表者 田中都 (城西国際大学大学院) 司会者 大橋稔 (城西大学) 2. アメリカ文学におけるコミューン表象の変遷 <11:00-11:30> 発表者 馬場聡 (日本女子大学) 司会者 君塚淳一 (茨城大学) 休憩 <11:30-11:45> 3. 『ヴェニスの商人』における「選択」の行為について ― 「運命の女神」は不在か ― <11:45-12:15> 発表者 丹羽佐紀 (鹿児島大学) 司会者 石塚倫子 (東京家政大学) 昼食 <12:15-13:30> 4. イギリスの映画検閲と公衆道徳国民協議会報告書 <13:30-14:00> 吉村いづみ (名古屋文化短期大学) 司会者 中垣恒太郎 (大東文化大学) 5. グループワークが英語学習者の不安に及ぼす効果 <14:00-14:30> 飯村文香 (芝浦工業大学) 司会者 大東眞理 (帝京平成大学) 休憩 <14:30-15:50> 基調講演 <14:50-15:50> 「恋する文化人類学者はアフリカで何を見たのか?:調査と体験の狭間」 鈴木裕之 (国士館大学教授) 休憩 <14:30-15:50> ワークショップ<16:00-17:30> 「The Beatles を再考する―なぜ、今、また熱いのか?」 司会者・発表者 君塚淳一(茨城大学) 発表者 小出斉(ブルース・ギタリスト)、永田喜文(明星大学) 閉会の辞 <17:30-17:40> 理事長 君塚淳一 (茨城大学) 懇親会 <18:00-20:00> 法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナードタワー25階 スタッフクラブ 当日会費:500円(非会員・一般)300円(非会員・学生)懇親会費:4000円 黒人女性の「場所」とジェンダー規範 ―『ママ・デイ』に見る女性化された場所― 田中 都 (城西国際大学大学院) グロリア・ネイラー(Gloria Naylor ,1950−2016) の作品『ママ・デイ』(Mama Day, 1988)の舞台は、アメリカ合衆国南部のサウス・カロライナ州とジョージア州の境の海岸線沿いに位置する架空の島、ウイロウ・スプリングスである。性差別も人種差別もないこの島は、呪術を使う黒人女性が統治する女性化された場所として描かれている。 黒人女性が存在感を保つ場所は台所やポーチなどの家庭内とされていたが、ネイラーは家庭の外に女性化された場所を創造しようとした。また彼女は、差別が横行する社会が島の外側に存在し、その差別的な価値観が島を侵しつつあることを予感させてもいる。 現実社会でより大きな場所を女性化させるには、課題が山積している。ネイラーは『ママ・デイ』において、差別という現実を凌駕し得る黒人女性の連帯を追求していたことと、彼女が示した連帯のための課題について、女性化された場所に着目しながら論じる。 アメリカ文学におけるコミューン表象の変遷 馬場 聡 (日本女子大学) コミューンにおける共同生活は各地で特異な文化を形成し、1960年代のアメリカ対抗文化を特徴づけた。行動心理学者B.F. Skinnerが架空の実験的コミュニティーを描いた小説Walden Two (1948)は、60年代に実在したコミューンに多大な影響を与えたことで知られる。とりわけ、1967年に創設されたツイン・オークス・コミュニティーは、その理念から運営方法に至るまで、Skinnerの小説に依拠しているという点で興味深い。本発表では、Skinnerの作品とツイン・オークスとの関係を検討したのち、Rudolph Wurlitzer, Nog (1967)、Richard Brautigan, In Water Melon Sugar (1968)などの作品を取り上げ、同時代批評としてのコミューン表象について考えたい。さらに、ポスト対抗文化期に刊行されたTom Robbins, Even Cowgirls Get the Blues (1976)、Thomas Pynchon, Vineland (1990)等の作品におけるコミューン表象の変容を確認したうえで、60年代に実在した前衛芸術系コミューン、ドロップ・シティーをモチーフにしながらも、それを大胆に換骨奪胎したT.C. Boyle, Drop City (2003) に見られるパロディーとしてのコミューンについて考察する。 『ヴェニスの商人』における「選択」の行為について ―「運命の女神」は不在か ― 丹羽佐紀 (鹿児島大学) 『ヴェニスの商人』(The Merchant of Venice, 1596)において様々な場面で繰り広げられる選択の行為は、登場人物達のその後の行動を決定づける点で重要な意味を持つ。箱選びの場面をはじめ、公正な裁きと慈悲、友情と恋の狭間での葛藤など、登場人物達は、その都度自ら選択する余地を与えられ、その意志決定によってあらすじが展開していくように見える。 これら一連の行為は、ヴェニスの市場経済に基づく物質的価値という観点から捉えれば、一方では自分達にとっての損得にその判断基準の根拠を見出すことが出来る。だが他方でこの劇には、選択自体がない場面も存在する。ポーシャは箱選びの場面で夫を選ぶことが出来ず、シャイロックは判決後自らの身の振り方を選べない。 本発表では、それぞれの選択という行為が、運命の女神に対する古典的概念やキリスト教的な運命思想とどの様に関わっているのか、選択が出来ない場面との比較を通して考察する。 イギリスの映画検閲と公衆道徳国民協議会報告書 吉村いづみ (名古屋文化短期大学) 1916年、イギリスの映画検閲を担っていた民間組織、英国映画検閲委員会は大きな転換期を迎えていた。新しく就任した内務長官の主導の下、公的な検閲機関設立の気運が高まっていたことに加えて、かねてから活動していた社会浄化運動組織の一つ、公衆道徳国民協議会(National Council of Public Morals)が、協議会内に映画委員会を設置し、映画が及ぼす影響について調査を開始しようとしていたからである。英国映画検閲委員会は、この調査において高い評価を得るために、強硬な検閲姿勢を示す必要に迫られた。 本発表では、第一に、翌年発表された調査報告書について、その構成や内容を紹介する。報告書には、調査結果と識者を含む様々な人々へのインタヴューが詳細に記録されており、映画がどのように受容されたかを知ることができる。 さらに、この調査がもたらした検閲方針の変化を明らかにするために、調査前後に委員会によって拒絶されたシーンや字幕の具体例を示しながら、映画検閲と社会浄化運動の関与について論じる。 グループワークが英語学習者の不安に及ぼす効果 飯村文香 (芝浦工業大学) 本発表では、プレゼンテーションを取り入れた英語の授業内で、グループワークが英語学習者の不安の程度にどのように効果を及ぼすのか報告する。グループワークの効果を調べるために、プレゼンテーションを取り入れた授業を受講する68名の大学1年生を対象に、グループワーク有り(以下GW有り)とグループワーク無し(以下GW無し)のクラスを設定し、質問紙調査を実施した。後学期の前後における両者の不安の程度は、外国語教室不安尺度(FLCAS)を用いて測定した。質問紙回収後、FLCASの33項目を尺度得点化し、繰り返しのある分散分析を用いてグループワークが学習者の不安に与える効果を調査した。その結果、GW有りのクラスではGW無しのクラスに比べ、学習者の不安の差が統計的に有意であることが示された。この結果により、プレゼンテーションを取り入れた英語の授業内で、グループワークが学習者の不安を軽減する効果があることが示された。 ワークショップ 「The Beatles を再考する―なぜ、今、また熱いのか?」 司会者・発表者 君塚淳一(茨城大学) 発表者 小出 斉(ブルース・ギタリスト) 発表者 永田喜文(明星大学) 2014年2月にビートルズのアメリカ上陸50周年を記念するCDボックスが発売されて以降、50周年企画と共にテレビ番組や雑誌、著書など莫大な種類が出されている。日本ではポールが2013年以降、続けて来日し、このブームに勢いをつけている。若者は書も買わないしCDはダウンロード、テレビも見ないからターゲットは当然60歳から70歳代のビートルズ世代だ。 だが英国the Liverpool Hope University大学院では、The Beatles, Popular Music & Society(MA)のコースが2009年に設立され学問的な研究も始まる。なるほど書物では、社会学的、時代的、また人物研究からアプローチが多く、音楽関係は「弾く」より「サウンド研究」に傾向する。 当ワークショップでは各専門から、ビートルズのアメリカとの影響関係、黒人音楽、アイルランドとの関係からアプローチをし、新たな分析を加えたい。ワークショップということでフロアからの「ビートルズの知識」の披露も大歓迎。 |
問い合わせ:大会担当理事
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