大会担当理事よりのお知らせ
第30回英米文化学会大会について						
						
日程:平成24年9月8日(土)- 9月9日(日)
場所:山梨県立大学 (A館6階のサテライト教室)
〒400-0035 山梨県甲府市飯田5-11-1 TEL 055-224-5261  FAX 055-228-6819

	徒歩:JR中央本線 甲府駅 南口 徒歩20分
	バス(JR中央本線 甲府駅 南口 山梨交通バス乗車場4番線):
	中央病院経由竜王駅行き → 「飯田三丁目」下車、徒歩7分
	長塚行き・長塚経由敷島営業所行き → 「飯田三丁目」下車、徒歩7分
	中央病院行き・中央病院経由敷島営業所行き → 「飯田三丁目」下車、徒歩7分
	飯田経由敷島営業所行き → 「飯田三丁目」下車、徒歩7分


日程:平成24年9月8日(土)・9月9日(日)
山梨県立大学 飯田キャンパス (A館6階サテライト教室)
交通アクセス: JR中央本線 甲府駅 南口 徒歩20分
JR中央本線 甲府駅 南口より 山梨交通バスにて「飯田三丁目」下車、徒歩7分

山梨県立大学アクセスマップでご覧ください。
                            

当日会費:一般  500円  学生:  100円

[第1日目] 
9月8日(土):
12:30−   受付開始
13:00−13:10  開会の辞 英米文化学会会長 小野昌 (城西大学)     <研究発表>
13:10−13:50  英語の印刷広告に表象された「パプアニューギニアらしさ」
                    黒澤 毅 (大東文化大学大学院)
                    司会 田嶋倫雄 (日本大学)      
14:00−14:40  マーガレット・アトウッドの『キャッツ・アイ』における芸術家の視点
                                       塚田 英博 (城西大学)
                                       司会 間山伸 (埼玉医科大学)
14:50−15:30  アンソン・ウォーリーの行方
               ―イーディス・ウォートンの「ホルバインにならって」論考―
                                       西垣有夏 (京都学園大学)
                                       司会 君塚淳一 (茨城大学)     
<基調講演>
15:40−16:40  「キリスト紀年のグローバル化に果たしたベーダ『イギリス教会史』の役割」
                                      佐藤正幸 (山梨大学名誉教授)

17:30−19:30  懇親会 (甲府ホテル内 レストラン Alpino 会費3,000円)

                            
[第2日目]                                                                 9月9日(日):
9:00−   受付開始

<研究発表>
9:30−10:10  マーガレット・ドラブルのThe Peppered Moth における
「過去と現在」と重層性
                    永松 美保 (九州女子大学)
                    司会 小林弘 (東京理科大学)
10:20−11:00  トウモロコシに見るトウェインの南部性                       
                        佐野潤一郎 (創価大学)
                        司会 大東俊一 (人間総合科学大学)
11:10−11:50  17世紀アンティクエリーの系譜における歴史観の変遷
                     高野美千代 (山梨県立大学)
                        司会 越智敏之 (千葉工業大学)

11:50−12:00  閉会の辞 英米文化学会理事長 佐藤治夫 (日本大学)


宿泊場所について: 
英米文化学会第30回大会参加者限定で、甲府ホテル(〒400-0024 甲府市北口1-2-17 055-252-1311)
を提供しております。1泊朝食付 6,720円 (シングル/ダブル・ツインのシングル使用)です。宿泊ご希望の
方は、学会1ヶ月前(8月8日)までに、「英米文化学会第30回大会宿泊希望」と明記の上、小田急トラベル
町田支店(田中陽二様 (пF042-727-1321   E-mail: y.tanaka(@)odakyu-travel.co.jp)までご予約ください。

<抄録>
英語の印刷広告に表象された「パプアニューギニアらしさ」とは何か

	                   黒澤 毅 (大東文化大学大学院) 

 パプアニューギニア独立国における商業広告は、その対象商品を掲載する広告から
消費者に国民としての意識を働きかけるメッセージが見られるものがある。それは広告
で使用される言語が英語やトクピジンを使用したもの、及びそれらを混合したものに限
定され、国民としての統一したイメージを与える表現を加えるからである。この背景には、
各地域の文化や政治的な繋がりが国家(政府)より地方(各民族集団)の方が強いため、
国内の地域文化の特徴を明示するだけでなく、各々の民族意識を超えた国民として国家
への帰属と統一を意識した文化の所有を暗示させている。これは、商業広告であっても
国民としての意思統一である「パプアニューギニアらしさ」(Papua New Guineaness)を与
える契機として利用していると考えられる。本発表は、英語の印刷広告が掲載されている
新聞や雑誌から「パプアニューギニアらしさ」を表象する志向について論じる。


マーガレット・アトウッドの『キャッツ・アイ』における芸術家の視点

	                        塚田英博 (城西大学) 
	
 アトウッド(Margaret Atwood, 1939-)の作品では、芸術家が度度登場する。芸術は、生
じている現象を捉える一種の能力として描かれる傾向がある。しかし芸術家の視点が、
現実をありのままに映し出しはしない。芸術家は「信頼できない語り手」であるが、芸術家
であるからこそ、現実を多面的に提示することが可能となり真実を炙り出していく。
 『キャッツ・アイ』(Cat’s Eye, 1988)にも画家である主人公、エレインが登場する。エレイン
は幼い頃、友人コーデリア達から虐めのような行為を受けていた。このような加害者と被害
者の構図は以前の作品にも存在するが、エレインの視点から、加害者が被害者でもあると
いう二重構造が徐徐に示唆されていく。さらにこのような構図を消滅させる行動が、提示され
もする。
 この構造と行動の意味こそ、以前の作品とは異なる、この作品の特徴である。本発表に
おいては、アトウッドの批評『セカンド・ワーズ』(Second Words, 1982)と当時のカナダの情勢
に鑑みながら、その意味を考察する。
	

アンソン・ウォーリーの行方―イーディス・ウォートンの「ホルバインにならって」論考

                      		西垣有夏 (京都学園大学) 
              
 イーディス・ウォートン(Edith Wharton)の「ホルバインにならって」('After Holbein', 1928)では、
ニューヨーク上流階級に属し、絵画や舞台芸術、読書に興味を持つが、社交界への執着が強
く、結局上流階級の立場に依存するアンソン・ウォーリー(Anson Warley)の転落人生が描かれ
ている。アンソンは作品タイトルにあるホルバインとは、ドイツの画家、ハンス・ホルバイン(Hans 
Holbein)を指す。作者ウォートンが芸術に関心を寄せていたことを考えると、彼女の描く作品に
画家の名前が入るのは自然なことだ。しかし、ホルバインの名は作品タイトルだけで、作中に記
載事項はない。ホルバインと本作品との関わりは見受けられないと考えがちだが、ホルバインを
あえて用いたのは作者にとっては意図的な計算なのだ。本発表ではニューヨーク社交界に身を
置く主人公アンソンの生き様を、ホルバインに関連づけて論じていくことにする。


マーガレット・ドラブルのThe Peppered Moth における「過去と現在」と重層性

                     		永松 美保 (九州女子大学)

 マーガレット・ドラブル(1939〜)は、創作作活動の初期において、「単純、明快」であることを創作
目標に挙げている。そうした彼女の初期の作品は一部の作品を除いては、比較的平易な作品ば
かりである。中期の作品に至っては、テーマの広がり、複雑さは見られても、創作上の技法を用い
た作品は殆どなかったが、2000年頃から、ドラブルは難解な作品を描いている。
 The Peppered Moth(2001)は、Bawtry家にルーツ持つ4世代に亘る登場人物達がそのルーツに
引きずられながら、それぞれの人生を模索する作品である。そこでは、遺伝子の問題、母子間、
夫婦間の愛憎劇が見受けられる。本発表では、登場人物達のルーツに絡んだ母子、夫婦関係を
解読して行くと共に、4世代に亘る錯綜した登場人物達の関係を描くことで作者自身が意識して作
品を難解にしようとしている作品の重層性を考察する。 


トウモロコシに見るトウェインの南部性

                       		佐野潤一郎 (創価大学)

 中西部ミズーリ州出身の作家マーク・トウェイン(Mark Twain)を「南部作家」と見るかどうか、これま
でも議論百出の状態であった。しかし、生活文化の根幹となる「食」からのまなざしを考えるとき、北
部人を貶した上での南部料理への礼賛が散見される。就中、南部料理の主食とも言えるトウモロコシ
は、その南部独特の食べ方から存在感に至るまで、極めて南部的だと作者は語る。「ありがちな意見」
("Corn-pone Opinions" 1902)ではトウモロコシパンをありきたりなもののメタファーとしてconformityと
の語呂合わせで使うなど、トウェインが作家人生で一貫して問い続けた社会的存在としての人間のいか
がわしさを暴くとき、トウモロコシの南部的存在感が人間性回復の役割を果たす。トウモロコシについて
の記述を分析することで、トウェインを考える視座をより南部に近づけることが可能である。画一的に見
られがちなアメリカの食習慣と南部の伝統食との差異を検証しつつ、トウェインの南部性を食の観点か
ら問い直す。


17世紀アンティクエリーの系譜における歴史観の変遷

                     		高野美千代 (山梨県立大学)

 17世紀英国のアンティクエリー(好古学者,antiquary)による作品群は当時の文学に新たなジャンルを
築き、同時に近世英国の歴史観の変遷を映し出すものであった。アンティクエリーは過去について強烈
な知的好奇心を持ち、主に古い文献資料や遺跡碑文などを精査することによって、過去を著述として再
現しようと試みた。この研究では、ウィリアム・カムデン(William Camden)をはじめウィリアム・ダグデール
(William Dugdale)、ジョン・オーブリー(John Aubrey)、アンソニー・ウッド(Anthony Wood)、エイレット・サ
ムズ(Aylett Sammes)という5人のアンティクエリーに焦点を絞り、彼らによる17世紀初頭から世紀末まで
に受容された好古学書を扱い、これら作品群の文学史上・歴史上の意義を明確にしながら歴史観の変遷
を考察する。


大会担当理事 松谷明美 AkemiMatsuya(at)SES-online.jp


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