◆英米文化学会 第139回例会のお知らせ 日時:平成24年11月10日(土)午後3時00分〜6時00分 午後2時30分受付開始 場所:日本大学歯学部2号館地下1階第1講堂 (JR 御茶ノ水、営団千代田線新御茶ノ水、都営新宿線小川町他下車) 懇親会:会場:日本大学歯学部3号館地下ラウンジ 時間:午後6時〜8時 懇親会のみの参加も歓迎いたします。 会費:1,500円*例会会場(日本大学歯学部) 例会は2号館地下・懇親会は向かいの3号館地下です。 (JR 御茶ノ水、営団千代田線新御茶ノ水、都営新宿線小川町他下車)
開会挨拶 (3:00−) 英米文化学会理事長 佐藤治夫(日本大学) 研究発表 1. 日英語における空間表現の時間表現への意味拡張 (3:10−3:40) ―「さき」と[tip, end]を例に― 発表 根木英彦(大東文化大学大学院) 司会 大東真理(拓殖大学) 2. クリスティナ・ロセッティの詩にみる「花を摘む」行為と「摘まれた花」 (3:40−4:10) 発表 藤田晃代(高崎経済大学) 司会 山根正弘(創価大学) ---休憩(4:10-4:20)---茶菓の用意あり 3. The Plumed SerpentにおけるOwen Rhysの役割 (4:20−4:50) 発表 川田伸道(同志社大学) 司会 相良英明(鶴見大学) 4. Parallel Reading Versus Reading Aloud In Shadowing (4:50−5:20) 発表 Todd Armstrong(城西大学) 司会 安山秀盛(城西大学) 閉会挨拶 (5:20−) 英米文化学会会長 小野昌(城西大学)
研究発表抄録 1. 日英語における空間表現の時間表現への意味拡張 ―「さき」と[tip, end]を例に― 根木英彦(大東文化大学大学院) 人間の五感では認識できない時間という抽象概念は、空間というより具体的な概念で置き換え られて表現されることがある。そのような例に「さき」という語がある。「さき」は、「さきの大戦」 (過去)や「さきのことはわからない」(未来)のように時間表現において「過去」と「未来」の両方を 表すことができ、日本語や英語においてこのような語は特異で意味論的にも複雑である。これは、 「さき」の過去や未来を意味する原因は時制ではなく、時間的順序をどのような視点で主体が 認識するかによるからだと考えられる。本発表では、日本語の「さき」と英語の[tip, end, ahead]を 対照させ、国広哲也が『理想の国語辞典』(1997)で述べる「客観的視点」と「羨望的視点」などの 論考も援用しながら、元来場所や位置を表す語の、時間を表す表現への意味の広がりについ て考察する。 2. クリスティナ・ロセッティの詩にみる「花を摘む」行為と「摘まれた花」 藤田晃代(高崎経済大学) ヴィクトリア朝の詩人クリスティナ・ロセッティ(Christina Rossetti, 1830-94)は、生涯にわたる詩作 品のなかでも花を歌ったものを多く残している。彼女は花のみならず、花に関わる人物の姿を詩 中に描くことで、人々が花によせる想いを表現している。本発表では、草花の観賞やスケッチと いったクリスティナ・ロセッティ自身の花への傾倒およびヴィクトリア朝に到来した花卉ブームや花 言葉の流行など、花が人々の日常生活において重要な位置を占めるようになった時代背景にも 触れる。登場人物と花との関わりが重要な意味をもつ中期の作品、“Two Thoughts of Death” (1850)、“Shut Out” (1856)、“An Apple Gathering” (1857)、そして“Brandons Both” (c. 1880)を主 に取り上げ、登場人物が「花を摘む」行為の意味、そして「摘まれた花」が表わす事柄について考 察する。 3. The Plumed SerpentにおけるOwen Rhysの役割 川田伸道(同志社大学) 本発表では、D. H. ロレンスの小説『羽鱗の蛇』(The Plumed Serpent)に登場するオーウェン・リ ース(Owen Rhys)と主人公ケイト・レスリー(Kate Leslie)の関わりについて考察する。オーウェンの モデルとされる ウィッター・ビナー(Witter Bynner)の皮肉な評論に倣えば、オーウェンが早々と小説 の舞台から消えたことは、作者ロレンスの慈悲の表れとも言えるだろう。しかしオーウェンは、主人 公ケイトの転身に大きな役割を担っている。彼が体現するアメリカ的価値観、表面的な社交性や 快楽の追求といった要素をケイトは否定し、メキシコの原始的風景と原始宗教へと向かい、最終的 にはメキシコに留まる決意をする。つまり、オーウェンは反面教師としてケイトの変貌を促す存在で ある。以上の点から本発表では、ケイトが新しい価値観を受容する過程において、オーウェンの果 たした役割が重要であることを論証する。 4. Parallel Reading Versus Reading Aloud In Shadowing Todd Armstrong(城西大学) Listening comprehension is called on-line processing, which requires both bottom-up and top- down processing at the same time (Rumeheart 1986, Lynch 1998). Bottom-up processing is to create understanding from phonemes to larger chunks. Top-down processing is to match incoming input with prior knowledge to create understanding. Low level learners tend to allocate most attention to bottom-up processing, which often results in insufficient attention for top-down processing. Shadowing is a task to repeat the incoming auditory input as soon as it is heard. For low level learners, repeating shadowing, which has proven effective in improving bottom-up processing (Tamai, 2005; Kadota, 2007), calls for modification. This study investigated whether facilitating visual linguistic input processing leads to improvement of shadowing performance. Two different reading aloud conditions were created: one group had visual input only (Reading Aloud) and the other group had visual and auditory input (Parallel Reading). Shadowing tests were administered as pre and post tests to measure improvement in shadowing performance. A t-test analysis revealed no significant difference between the two groups in shadowing performance (p>.05). The pedagogical implication is having two types of input is just as facilitative as one input for shadowing tasks for low level learners.
案内マップ 日本大学歯学部HP
連絡先 例会担当理事 河内裕二 YujiKawauchi(at)ses-online.jp