英米文化学会
平成12年度活動
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平成12年10月31日 |
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◆英米文化学会第103回例会および臨時総会
当日会員制度有
開催月日:平成12年6月10日(土)
15:00-17:00 研究発表(受付14:30-)
17:00-17:30 総 会
場所:日本大学歯学部3号館2階第5講堂(御茶ノ水ニコライ堂隣)
懇親会: 18:00- 当日申込可能
◆第103回研究発表タイトルと司会者
1. トマス・ハーディーとD.H.ロレンスの詩における文法、語彙分析及び解釈
鈴木 理枝(MLSモデル・ランゲージ・スタジオ講師)
司会 相良 英明(鶴見大学)
2. 教材のマルチメディア化の試み---語彙自習プログラムの開発
伊東 田恵(豊田工業大学)
司会 木村 みどり(青山学院大学)
第103回例会研究発表レジメ
1.トマス・ハーデイーとD.H.ロレンスの詩における文法、語彙分析及び解釈
鈴木 理枝
本発表の目的は、ハーデイーとロレンスによる四篇の詩の文体的特質の類似点と相違点を分析することである.各々宗教詩と愛の詩を一篇ずつ選び、宗教詩は、ハーデイー作The Impercipient、ロレンス作There are no gods、愛の詩は、ハーデイー作A Broken Appointment、ロレンス作Gloire de Dijonを取り上げ、文法に焦点をあて、時制、代名詞、叙法の分析をする.これらの分析の結果が、両者の詩の内容とどのように結びついているか、又二人の詩人の主題にどのように関連しているかを調べてみる。更に文体の傾向を調べるために語彙に焦点をあて、インフォーマントテストを用い、語彙の形式的(formal)、非形式的な(informal)性質がどのように示され、反映されているかを比較検討する。
2.教材のマルチメディア化の試み ――語彙自習プログラムの開発
伊東 田恵
豊田工業大学では本年度より、英語教育にコンピュータを活用するため、情報処理センターのコンピュータを使用し、本格的なCAI(Computer Aided Instruction) による英語の授業をスタートさせることとなった。しかしCAI教材は、高価な上、まだ数も種類も少なく、担当する学生に適した教材を探すことはなかなか難しい。独自の教材の開発が有効であると思われるが、そのためには情報関係の専門家による全面的なバックアップを必要とする。
本発表では、発表者が学内で理系の教員と共同で開発した語彙自習プログラムを紹介し、個人ベースで行う英語教員によるCAI教材開発の可能性と問題点を探る。併せて、インターネット上の英語教育支援サイトや、ダウンロード可能な学習ソフトを紹介する。
◆
第18回大会
大会の画像をご覧になれます
当日会員制度有
開催日:平成12年9月9日(土)・10日(日)
場所:盛岡大学 〒020-0183 岩手郡滝沢村滝沢字砂込808
(大会会場の盛岡大学への直接コンタクトはご遠慮ください)
懇親会:9月9日6時30分。 場所:ホテル・メトロポリタン盛岡ニューウィング 会費:5,000円
当日会費 :一般500円 学生300円
大会事務局:〒101-8310 千代田区神田駿河台1−18−13 日大歯学部佐藤英語研究室
9月9日
研究発表<13:40−15:10>
1. 英文読解に対する日本人大学生の不安の研究
松村 優子(京都橘女子大学)
司会 佐久田 英子(拓殖大学)
2. ディベート教育による論理的・批判的思考の指導
木村 みどり(青山学院大学)
司会 平川 敦子(城西大学)
講演<15:20−17:00>
演題:見えないアメリカ
大島 良行(専修大学教授)
9月10日
研究発表 <9:30−14:10>
1.中国人からの手紙:ゴールドスミス『世界市民』の歴史的位置付け
橋本 順光(東京大学大学院)
司会 大東 俊一(人間総合科学大学)
2. 感覚を表す英語表現とメタファー
赤堀 志子(昭和女子大学)
司会 鈴木 俊二(国際短期大学)
3. マーク・トウェインのcivilization認識
佐野 潤一郎(創価大学)
司会 佐藤 成男(玉川大学)
4. ホームコメディからの脱出
越智 敏之(千葉工業大学)
司会 石原 万里(福島工業高等専門学校)
5. 青少年の自己評価についての国際的調査
馬嶋 治男(拓殖大学)
司会 伊澤 章(拓殖大学)
◆第18回大会研究発表レジュメ
第1日
1.英文読解に対する日本人大学生の不安の研究
松村 優子 (京都橘女子大学)
近年、外国語学習に及ぼす情緒面のような心理的要因の研究が盛んになってきている。特に、「不安」は様々な言語活動にマイナスの影響を与えることが先行研究でも論じられているが、これまでは口頭による言語活動との関係を論じた研究が多かった。外国語の読解と不安との関係を論じた実証研究も出版されているが、EFL環境下での日本人英語学習者を対象にした実証研究は稀である。本発表では、日本人大学生のほとんどが受講している読解の授業や読解テストに対してどのような不安を抱いているかを調査する。2種類の質問紙調査――教室での外国語学習に関する不安アンケート(FLCAS)と外国語読解に関する不安アンケート(FLRAS)――の実施報告を行い、その回答を統計処理し、更にインタビューによる質的調査分析を加える。結果や教育上の示唆を考察した後、読解に関する不安を解消するためにはどのような教室指導方法が考えられるかを模索したい。
2.ディベート教育による論理的・批判的思考の指導
木村 みどり(青山学院大学)
カナダ、アメリカでは1970年代からCritical Thinkingの重要性が唱えられ、多くの大学が教養課程のカリキュラムにCritical Thinkingの指導を組み込んでいる。しかし、日本ではこの点において、大きな教育改革はされていない。そして、アカデミック・ライティングを指導する多くの英語教師は「論理的思考、批判的思考の出来ない学生への指導の困難さ」という悩みを抱えているように見える。果たしてそんなに多くの学生が本当に無能なのだろうか?教師の指導いかんによって学生の思考能力を高めることができるのではないか?その指導方法の一つとして、ディベートを取り上げる。ディベートがなぜ論理的・批判的思考能力を高めることができるのか、ディベートの構成、ルールを紹介しながら分析する。また、実際の英語ディベートの指導例を取り上げながら、その効果を述べる。
第2日
1.中国人からの手紙: ゴールドスミス『世界市民』の史的位置付け
橋本 順光(東京大学大学院)
Oliver Goldsmithが1762年に刊行した『世界市民』The Citizen of the Worldは、中国人の目をかりた諷刺文集である。作中、ロンドンへやってきた中国人リエン・チー・アルタンギーが、故郷あての手紙のなかで、中国に比べて奇妙で異質な英国社会を諷刺し、批判するのである。しかし、その面白さと重要性にもかかわらず、『世界市民』は、従来、ほとんど論じられてこなかった。発表では、本作品を文化史的に位置づけ、その再評価を試みたい。まず、作中の近代西欧文明への批判が、それまでのどのような思潮をふまえているか、を考える。とりわけ、古代と近代のいずれの学芸が優れているかという、十七世紀末から始まった新旧論争が、『世界市民』において変奏されていることを示唆する。次に、『世界市民』が後世に及ぼした影響を論じる。中国人からの手紙という形式で、ほぼ同様の西欧批判が十九世紀においても繰り返されていることを指摘する。その際に、『世界市民』との相違点は、どこにあるのか、あるとするならそれはなぜなのかも、考察する。
2.感覚を表す英語表現とメタファー
赤堀 志子(昭和女子大学)
言葉には基本となる意味があるが、私たちは日常生活において、その意味を拡張して使ったり解釈したりする。拡張された意味は、その言葉の意味として定着することもあれば、コンテクストに依存してのみ、その意味をなす場合もある。また、社会的、文化的な背景によって表現の意味が限定されたり、ほかの意味が付加されることもある。この発表では五感に関する言葉に焦点を当てる。感覚とは直接関係のない言葉を感覚を表す表現が飾り、メタファー的な意味を作り出す場合がある。そうした事例を挙げながら、感覚を表す表現の表しうる意味の範囲について、社会的背景を考慮しつつ、歴史的な流れにも目を向けながら考察を試みる。
3.マーク・トウェインのcivilization認識
佐野 潤一郎 (創価大学)
マーク・トゥェインの作品中にはcivilizationに関連した語が数多く出現する。これらの語がトゥェインの作品中どのように使われているかを検証する事で、彼がcivilizationという概念をどのように位置づけているのかを探る。
このテーマにそって、civilizationという語が多く見られる作品で、尚且つトゥェイン自身が第一人称で語る三つの作品を扱う。トゥェインが"the mother of civilization"と呼んだ欧州・近東への旅行記The Innocents Abroad、当時civilization の最前線と見做されていたアメリカ本土西部とハワイ諸島への旅行記Roughing It、そして太平洋諸島・オセアニア・南アジアなどへの旅行記で、civilizationの功罪を大きく取り扱ったFollowing the Equatorを扱う。
4.ホームコメディからの脱出
越智 敏之(千葉工業大学)
五〇年代に入ると、ニューディール政策最後の大型プロジェクトのおかげで郊外が急速に拡大したため、企業にとって大きな商機が訪れた。もともと消費社会の尖兵としての側面を持ち合わせていたホームコメディに多くの企業が投資し、郊外を舞台とし、白人家庭を扱ったホームコメディが大量生産される。そして同時期のTVの普及も手伝って、新興の郊外にはある種の幻想が付きまとうようになる。この幻想の一面を捉えて、ベティ・フリーダンは「フェミニン・ミスティーク」と呼ぶわけだが、実際にはこれは「ファミリー・ミスティーク」と呼ぶべきものだった。
郊外の拡大は同時に戦後ベビーブームの持続を可能にし、多くのベビーブーム世代が郊外で郊外を舞台としたホームコメディを家族揃って鑑賞し、その登場人物に自己投影をしながら育つことになる。このベビーブーム世代が六〇年代以降の解放運動の担い手となるのだが、今回の発表では、「ファミリー・ミスティーク」、あるいはホームコメディからの解放と呼ぶべき動きが存在することを、映画などを通じて説明していく。
5.青少年の自己評価についての国際的調査
馬嶋 治男(拓殖大学)
学生・生徒の行動の説明に、彼ら自身の自己観念(self-esteem)の研究の重要性が考えられている。 "How I See Myself" test (自己評価質問紙)を使って、次の観点から日本の学生の状況を浮き彫りにする。
1.国際比較(Sweden, Finland, Japan, Australia and the United States)
2.時代比較(1975年の調査と2000年の調査)
3.大学生と高校生の比較
自分自身をどのように考えているかについての42の質問に対して、肯定的か否定的かを、次の8つのカテゴリーに分類して比較研究する。 1. Teacher-School 2. Physical Appearance 3. Inter-Personal Competency 4. Autonomy 5. Academic Competency 6. Physical Competency 7. Emotional Competency 8. Language Competency
懇親会:9月9日6時30分。 場所:ホテル・メトロポリタン盛岡ニューウィング
会 費:5,000円
9日は午後1時にホテルメトロポリタン盛岡より大会会場までシャトルバスが運行されます。希望者は時間までにホテル旧館(駅に近い方の建物)1階ロビーまでお集まりください。帰りは全員、一緒にシャトルバスにてホテルに戻り、懇親会会場まで参ります。10日は、朝8時にシャトルバスが出発する予定です。宿泊をなさる予定でない会員も、遠慮なくシャトルバスにお乗りください。
大会後のエクスカーションはAコースのみとなりました
田沢湖・角館コース 代金30,000円
9月10日(日)盛岡 17:30 -->繋温泉泊
9月11日 (月)繋温泉-->仙岩峠-->田沢湖畔(遊覧船40分)-->角館(昼食)武家屋敷・青柳家、伝承館見学-->角館駅 15:05-->仙岩峠-->盛岡駅解散16:30
会員のお手元に、大会参加についてのアンケート(封書または電子メール)が届いている
ことと思いますが、万一、不達の場合は事務局までご連絡ください。
◆
英米文化学会第104回例会
開催日:平成12年11月18日(土) 2時半受付開始
場所:日本大学歯学部3号館(お茶の水駅下車ニコライ堂隣)3階
当日会費:一般500円 学生300円
忘年懇親会:今回は、参加者の負担を軽減すべく、5時半より会費2,000円!で行います。
会場は、同じ校舎の6階となります。忘年会を兼ねておりますので、懇親会のみへの参加も歓迎いたします。年末ですので、お仕事などで例大会にお見えになれなかった会員もお顔をお見せくださるのをお待ちします。
研究発表<15:00−17:00>
1.W.B.イェイツの〈存在の統合〉について 小舘 美彦(中央大学)
司会 大東 俊一(人間総合科学大学)
2.シンポジウム−M.A.K. ハリデイの機能文法の理論と応用 第8分科会(談話分析研究)
◆第104回例会研究発表レジュメ
1.W.B.イェイツの〈存在の統合〉について 小舘美彦
〈存在の統合〉とは何か。専門家の間でも意見の分かれるこの問題に対して私なりの解答を出すのがこの発表の目的である。
私の結論では〈存在の統合〉とは全ての事象を美へと変貌することのできる人格的機能である。
イェイツの最晩年の言葉、「私のキリストは・・・ダンテが完全に均衡のとれた人体にたとえた〈存在の統合〉であり、すなわちブレイクの〈想像〉であり、ウパニシャッドに言う〈自己〉である」を手がかりとして、〈存在の統合〉、ブレイクの〈想像〉、ウパニシャッドに言う〈自己〉のそれぞれに関するイェイツ自身のコメントを整理しながら、上記の私の結論を補強していきたいと思う。
2.シンポジウム M.A.K. ハリデイの機能文法の理論と応用 第8分科会(談話分析研究)
はじめに−機能文法とは 川口 恵子(芝浦工業大学)
メッセージとしての節−主題論述関係 西村 厚子・清時明美(共立女子短期大学)
やりとりとしての節−法 鳥飼 慎一郎(立教大学)
節を超えて−節と節の関係 横山 千枝子(日本大学)
イントネーションとリズム−新情報・旧情報 平川 敦子(城西大学)
メタファー 谷 憲治(早稲田大学)
談話分析やテクスト言語学において多大な影響を与えてきたM.A.K. ハリデイの機能文法(選択体系機能文法)は、社会の中で言語が実際にどのように使用されているのか、という機能主義的視点より構築された言語理論である。その目指すところは英語のテクストを分析するための文法である。その理論の特徴は、言語を一つの観点からではなく、複数の観点より同時に分析するものである。たとえば、節(文)を意味内容、話者と聞き手の間のやりとり、メッセージという三つの機能から考えるのである。これらの機能は節(文)においては、文法構造や音韻構造によって示される。本発表では、ハリデイの基本概念のうち、主題論述関係(Theme-Rheme)、法(Mood)、節と節の関係、新情報・旧情報、メタファーをとりあげ紹介すると共に、その概念を用い、数種類のテクスト(英語教材、学生の書いた作文、コーパス資料など)を分析してみる。
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E-mail: HaruoSato(at)SES-online.jp