英米文化学会
平成11年度活動
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平成11年10月31日 |
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英米文化学会第100回例会のお知らせ
標記の例会と総会を下記要領にて開催します。
◆開催年月日:平成11年6月19日(土)
◆開催場所: 日本大学歯学部3号館2階(地図)
◆時 間:例会 15:00-18:00
◆懇親会 18:00 場所未定 会費5,000円 学生(含大学院)3,500円---当日ご多用で懇親会のみの参加のも歓迎します。
事務局:佐藤英語研究室 〒101-8310 千代田区神田駿河台1-8-13
日本大学歯学部 電話03-3219-8160 ファックス 03-5204-8787
英米文化学会第101回例会のお知らせ
標記の例会が下記要領にて開催されます。
◆開催年月日:平成11年11月20日(土)・21日(日)
◆場所:アジアセンター小田原
〒250-0045 小田原市城山4-14-1 電話 0465-22-6131 宿泊予約は学会事務局まで
◆日程:受 付 11月20日 14:30〜
研究発表 同 15:00開始
忘年懇親会 同 18:00開始(会費5,000円)
研究発表
1.Macbethにおけるtimeについて
山木 聖史(学習院大学大学院)
司会 鈴木 正彦(駒沢女子大学)
2.H.G.ウェルズの空想科学小説における観察者
---視覚文化論的観点からの考察
内田 均(学習院大学大学院)
司会 大東 俊一(法政大学)
3.十九世紀末の消費文化と審美主義 ――ワイルドとジェイムズから――
川口 淑子(東京工科大学)
司会 五味田幸夫(玉川大学)
4.Scholars View the Millenniums, Past and Present
Wayne E. Parton(拓殖大学)
司会 伊東 田恵(豊田工業大学)
英米文化学会第101回例会研究発表レジメ
1. Macbethにおけるtimeについて
山木 聖史
言うまでもなく、Macbethは運命に翻弄される人間の悲劇である。だが、その悲劇は運命におけるtimeのありかたと人間世界のtimeのありかたとの差異から生じるものではないだろうか。たとえば、Come what come may, /Time and hour runs through the roughest day. (I.iii.)というように、Macbethの作品の中にはtimeに言及する台詞が多い。とりわけ、Macbethのtimeの捉えかたには興味深いものがある。実際、この作品では、人間の世界=物語の進行のtimeとWeird Sistersの世界のtimeとは決定的に異なっている。本発表ではtimeという観点からこの作品を分析し、悲劇が発生する要因、更に劇中のtimeの差異による演劇的機能を考える。
2.H.G.ウェルズの空想科学小説における観察者 ――視覚文化論的観点からの考察――
内田 均
H.G.ウェルズが初期のSF作品においてみせた豊かさと弱さとは、ダルコ・スーヴィン(Darko Suvin)に倣って言うならば、「科学的にみて体系的な方法」と「芸術的にみて生々しい感動を伝える方法」との絶えざる緊張関係に由来している。そして、常に大衆の眼を意識した彼一流の「レトリックとしての科学」が物語を支えているのである。ところで、ウェルズの活躍し始めた19世紀末の社会的コンテクストに目を向けると、写真を中心とした視覚イメージの産業化が、小説を娯楽として読むような一般読者に対しても既に影響を及ぼし始めていた。触覚から切り離された視覚経験や眼による所有という欲望が、複製技術の進展と絡み合いながら、「現実」ないしは「事実」を擬制する装置の開発を促してゆく。ウェルズは、当時発明されつつあった様々な情報装置のテクノロジーやそれらを生み出す源となった科学的知見に自らの想像力を充填することで作品を書き上げていったとも考えられる。本発表では、ウェルズの短編の中から、視覚や色彩をモチーフとした作品を数篇取り上げる("The Country of the Blind"、"The Remarkable Case of Davidson's Eyes"、"The Queer Story of Brownlaw's Newspaper"など)。そこに垣間見えるのは、視覚ないしは空間知覚をめぐる問題である。この点を、登場人物/語り手/作者/読者の複数の視点=観察者という立場から重層的にとらえつつ、視覚文化論的なアプローチにより、情報社会に生きる現代の我々の問題と切り結ぶ視座において考える。
3.十九世紀末の消費文化と審美主義 ――ワイルドとジェイムズから――
川口 淑子
十九世紀末のイギリスには、急速に発達した消費文化と審美主義の流れを汲む美意識が共存していた。実際的、現実的な消費という行為と、むしろ実践的ではなく、しばしば遠回りを含んだ十九世紀末の美意識は、実は、一部、相互依存関係にあると考えられる。この原理は、当時の作家にとっても避けがたいものであっただろう。 今回の発表では、オスカー・ワイルドとヘンリー・ジェイムズを取り上げ、一見対照的な二人が、実は、かなりの共通点を持ち、劇作家としてライバルであったばかりでなく、小説を書く上でも、密かにかなりの影響を受けあっていたことを確認し、その上で、見逃しがたいほど共通点を持ちながらも、二人が全く異なる印象を与える理由の一つを、当時の消費文化に求めて考察したい。そして、二人の関係から、審美主義に関わる作家の作品が、消費文化という、いわば需要側からの規定をどのように受けるものなのか、その可能性を探ることを試みる。
4.Scholars View the Millenniums――Past and Present
Wayne E. Parton
I will report what men of letters have said about the past and the current time frame from an academic point of view. This is not the first time a "New Millennium" has dawned upon us. What sort of situation existed in A.D. 1000? When does the New Millennium actually start? How was the year 2000 envisioned in earlier times? How did scholars view the millenniums, past and present? What are the parallels between the first millennium and the second?
英米文化学会第102回例会および総会開催のお知らせ
標記の例会と総会を下記の要領で開催しますので万障お繰り合わせの上ご出席ください。
開催月日:平成12年3月11日(土)
15:00-17:00 研究発表(受付14:30-)
17:00-17:30 総 会
場所:日本大学歯学部3号館2階第5講堂(御茶ノ水ニコライ堂隣)本号4頁に地図掲載
懇親会:於 中央大学駿河台記念会館内第一ホテルクリオール 18:30− 会費5,000円
研究発表
1. 17世紀初頭ロンドンにおける金糸銀糸の生産とその専売特許
日高 杏子(東京芸術大学大学院)
司会 小林 弘(東京理科大学)
2. 『ブライズデイル・ロマンス』をめぐる一考察
大内田 優子(麻布大学)
司会 吉原 令子(法政大学)
3. リトルビッグホーンの戦いとカスター
岡田 吉央(慶応義塾志木高校)
司会 石山 伊佐夫(桐蔭学園横浜大学)
第102回例会研究発表レジメ
1. 17世紀初頭ロンドンにおける金糸銀糸の生産とその専売特許
日高 杏子
17世紀初頭ロンドンにおいて金・銀糸産業は、それらをちりばめた豪華な染織品の国内生産の発達に貢献していた。また、身体上で金・銀を使った染織品によって、国王達の権威を表すために大切な役割を果たしていた。国王は金糸銀糸の生産を国内産業として奨励するために、Letters Patent(専売特許)と呼ばれた独占権を彼の寵臣達に与えた。これにともない、金糸銀糸職人、製品を扱う商人、及び貴族の専売特許に関わる利害が存在し、この問題は議会での反発を招いていた。加えて、16世紀後半以降ロンドンでは、経済発展とともに人口増加と物価の高騰が起きたにもかかわらず、金・銀糸職人の賃金はさほど上がらなかったために、彼らの生活は苦しくなる一方だった。
これらの背景をふまえ、金糸銀糸の生産にともなう肯定的側面、及び否定的側面を分析する。これらの実情に対して王室のとった政策が、どのように1640年代に起きた清教徒革命の原因の一つになったのか、に焦点を当てる。
2.『ブライズデイル・ロマンス』をめぐる一考察
大内田 優子
ホーソーンの作品は、十九世紀の時代認識で十七世紀の社会を逆照射するような、時間または空間的二重構造をもつところがある。熱烈な女権拡張論者であったエリザベス・ピーボディの妹のソファイアと結婚した彼が、彼自身の時代の風潮を作品に投影したとしても不思議はなく、事実、マーガレット・フラーをモデルにしたとされるゼノビアをめぐる男女の問題を『ブライズデイル・ロマンス』に残している。今回の発表では、彼の三作目のこの長編が従来「ヴェイルの物語」として、何が隠されているのかという部分に焦点を当てて読まれてきたのに対し、作者がジェンダー問題をどう捉えたかを考察することを目的としたい。また、ホーソーンが描いたダーク・レディとフェア・レディの対照的なヒロイン像は、両方ともが男性優位のジェンダー構造に組み込まれ、結果としてそれを支える役割を担ってしまうことを述べる。それにゼノビアとプリシラの、自らが父親に棄てられたという記憶が関係していることを検証し、さらには、作者自身の「父という余分なもの」への意識にもふれたい。
3.リトルビッグホーンの戦いとカスター
岡田 吉央
1876年7月、沢山の人達がアメリカ合衆国独立100年祭を楽しんでいた時、西部のモンタナでは、合衆国民を悲しみのどん底に陥れた大事件が起こった。若くして南北戦争やインディアン戦争で大活躍したGeorge Armstrong Custerと彼の部隊、第7騎兵隊が、インディアンによって全滅させられたのである。これは白人の軍隊がインディアンに完敗した最初で最後の戦いであったのだが、敗戦のショックは白人の心に深く残り、この戦いの後、沢山の平原インディアンが白人によって殺されることになった。そして Custer とリトルビッグホーンの戦いに関する研究は比較的早くから行われてきたが、それらは、Custerの人柄や彼に関する神話の分析に傾くものであった。従ってこの発表では、Custer夫妻が残した書物や手紙などの資料を使うことによって、彼の西部観やインディアン観を浮き彫りにすることで、Custerとリトルビッグホーンの戦いを分析していくことにしたい。
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E-mail: HaruoSato(at)SES-online.jp