The Titanic?
平成10年度学会暦 | |||||||||
第97回例会 | 第16回大会 | 第98回例会 | 第99回例会 | ||||||
例会・大会 | 6月20日 | 8月28日〜29日 | 11月21日 | 平成11年3月13日 | |||||
発表申込締切 | 4月20日 | 4月10日 | 9月21日 | 平成11年1月13日 | |||||
会報投稿締切 | 35号=5月8日 | 36号=7月17日 | 37号=10月9日 | 38号=平成11年2月1日 | |||||
会誌『英米文化』投稿締切 | 平成10年10月31日 |
研究発表
1.米国の公立高校特別教育クラスにおける民俗学的研究 --- 生徒を資源としてとらえる試み
2. コーパスを使用した言語分析と英語教育への応用
開催日時:
8月28日(金)13:00―15:30
8月29日(土)10:00―14:30
場所:東京農業大学生物産業学部(オホーツク・キャンパス)
北海道網走市字八坂196
オホーツクの夕日
8月29日
10:00 受付開始
10:30―12:00 研究発表
12:00―13:00 昼食休み
13:00―14:30 講 演
13:10―15:30(2教室使用)
14:50-15:30
5.高等学校リスニング教科書の言語機能分析
10:30―12:00(2教室使用)
研究発表
1.British Cultural Studiesの現場 ―― 理論と実践の狭間で ――
2. 『チャタレイ夫人の恋人』におけるD.H.ロレンスの技法について
3.ポライトネス再考:ビジネスレターにおける「断りの構造」の日英比較
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第98回例会研究発表レジメ 1.British Cultural Studiesの現場 ―― 理論と実践の狭間で ――
近年、世界各地でグローバル化が進むにつれて、文化的国境というものはますますあいまいなものになり、各国の国民性、地域性とは何かという問題がさまざまな学問分野において研究対象とされるようになってきた。いわゆる「地域研究」(Regional Studies)は必ずしも目新しいものではないが、最近日本でも注目され始めているCultural Studiesは、この2,30年の間にその発祥地であるイギリスからアメリカ、そしてアジアにも広がりはじめた比較的新しい研究領域である。 一般に「差異の政治学」と呼ばれるCultural Studiesの研究概念の一つは、過去の学問の細分化傾向を見直し、「学際的な」(interdisciplinary)見地から文化という有機体を多角的に解釈しようというものである。この手法は、これまでにある程度の成果を上げてきたといえるが、その反面、まさに「学問」という区別を否定した「学際」をみずから標榜するという独特な特質ために、種々の学問の高等教育機関である大学との間に、不協和音を生み出しているように思われる。本発表では、最近になって特に顕在化しつつある、British Cultural Studiesの理念と現実のひずみと将来的展望について、早くからこの研究領域に賛同しているイギリスのウォリック大学の例を参考に考える。
2. 『チャタレイ夫人の恋人』におけるD.H.ロレンスの技法について
小説家は時代や置かれた環境によってその技法を変えるものであるが、ロレンスもその例に漏れない。『恋する女たち』を書いて10年を経て、オーストラリアで書いた『カンガルー』では象徴的というより、貼り絵のように事実とフィクションを集めて書いたコラージュの描法を用いたといわれる。ロレンスは或る意味で意識的に技巧を凝らしている小説家である。また、小説家を職業とするというよりも、生きることが真っ先にあった独特な小説家であった。フリーダとの結婚がロレンスの人生の大半を支配したが、当然作品のなかに二人の生活は活写されている。『カンガルー』で亭主関白、それとも友人か、という立場の選択を迫られたロレンスは、「生涯あたためていた」とフリーダの言う『チャタレイ夫人の恋人』ではいかなる姿で登場するのであろうか。牧歌的とも神話的ともいわれる作品において、夫婦の在り方が、いかに変化し描かれているかをその環境と立場などを鑑みながら考察する。
3.ポライトネス再考:ビジネスレターにおける「断りの構造」の日英比較
「丁寧に断る」という行為はdouble bindである。つまり、「断る」ということ自体は "rude"で、断り方は"polite"にという言語活動を同時におこなうことを余儀なくされている。「断る」という言語活動は「謝る」、「褒める」などと同様にSpeech Actsの分野で現在に至るまで、数多く議論されてきている。Politenessに関しても1970年代からさまざまな角度から研究がなされてきている。代表的なものはLakoff, Brown & Levinson, Leech, そして最近ではFraserがpolitenessの原理や定理をとりあげている。その中で、今回は書き言葉における "refusal"をとりあげてみた。"refusal"の研究の多くは会話を取りあげているものが多い。その理由の一つとして、断るというネガテイブな言語活動を文字に残しておきたくないという心理が働き、できれば口頭で断り、証拠が残らないほうが好ましいといった態度が日米のビジネス社会で見られる傾向のようである。したがって資料が集めにくいのである。また、口頭による研究も、その多くはアンケートに頼るものが多い。実際にテープレコーダーを仕掛けても特定の断りの言語を入手するのは容易ではない。よって今回は「断りの手紙」中でも入手可能であった「不採用通知」に焦点をしぼって"Polite Refusal"とは何かということを英語の通知文と日本語の通知文を比較検討してみた。その結果により、Pragmatic Transferを始め、実際ビジネスの現場で求められている日本人の英語は何か検証する。
研究発表 1.日本の雑誌広告のテクスト分析 ---家庭生活誌における「夫」と「妻」の語彙選択を中心に---井上愛子 (慶応義塾大学) 司会 吉原 令子(法政大学) 2.創造か進化か---アメリカの小さな町ヴィスタの教育論争、1992-94---鵜浦 裕 (札幌大学) 司会 大東 俊一(法政大学) ◆ 1.日本の雑誌広告のテクスト分析---家庭生活誌における「夫」と「妻」の語彙選択を中心に--- 井上愛子 アメリカでの雑誌広告に見られる女性のステレオタイプを分析した研究と照らし合わせ、主として日本の家庭生活誌の広告テクストを対象に女性の表現のされ方を見ていく。特に「夫」と「妻」の語彙選択に焦点をあてて、英字新聞のテクスト分析をしたKitisとMilapides(1997)の研究を参考としてテクスト分析にはTannen(1979)の提唱する分析方法を用いた。分析結果より多様な女性の姿が浮かび上がり、ステレオタイプのみならず反ステレオタイプの女性像が確認された。「言語はときに性差別文化を反映し概念や推測を伝える媒体として常に談話のなかで使用されるうちに馴染んで習慣化されてしまうため本来の意味を見落としてしまう」とCameron(1991)は言っている。とりわけ雑誌広告は使用されることばと視覚的効果が相互に作用して強い影響を与えると考える。「夫」と「妻」の呼称については意識を高め時代と共に変化が起こることを期待する。 2.創造か進化か---アメリカの小さな町ヴィスタの教育論争、1992-94--- 鵜浦 裕 アメリカでは1987年の最高裁判決により公立学校の科学の時間に創造論を唱道することはできなくなった。しかし90年代にはいってもこの決定を無視するかのような事件が各地でフレアー・アップしている。報告ではカリフォルニア州の田舎町で起きた一つの事件を紹介する。1992年11月大統領選挙と同時におこなわれた教育委員選挙により、カリフォルニア州ヴィスタ統合学校区の教育委員会がキリスト教創造論者に乗っ取られた。5議席のうち3議席が創造論者によって占められたのである。彼らは同学校区のカリキュラムに生物進化論批判と「創造科学」を持ち込むためにいろいろな方策を試みたが、そのたびにリベラルな市民や教員との対立を深めていった。その過程で創造論教育の問題だけでなく、性教育や移民の子弟教育の問題も対立の原因となった。しかしいずれも話し合いで解決することができず、最終的に教員組合が資金力とマンパワーにものをいわせ、創造論委員をリコールしてしまうという最悪の結果を招いた。この事件を追いかけることで、創造論者という日本ではあまり知られていないアメリカ人像にせまり、同時に「創造vs進化」論争がアメリカの小さな町でどのような形をとるのかを明らかにしたい。
◆第16回大会開催のお知らせ
標記の大会を以下要領にて開催します。
◆開催年月日:平成10年8月28日(金)・29日(土) 受付開始28日 12:30 29日 10:00
◆場 所:東京農業大学生物産業学部(オホーツク・キャンパス)
〒099-2422 北海道網走市字八坂196
◆宿 泊 先:オホーツク渚亭
◆懇 親 会:オホーツク渚亭1階宴会場(28日18:00―20:00)
研究発表および講演
第1日 8月28日(金) 13:00−15:30
1.世代差からとらえた英米借用語受容とコミュニケーション・ブレークダウンとの相関関係